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<ネタバレ>デジタルリマスター版を劇場にて鑑賞。原作は読んでいませんが、確かに名作と呼ばれるにふさわしい重厚な作品。子供の頃に人の心の業の罪深さを身に染みて知る和賀は、誰にも心を開かず、自分を守ってきた。自分を愛する女をぼろきれにように捨て、権力者に擦り寄って音楽家としての地位を駆け上がる計算高さ、非情さは、自分以外の人間や過去の自分への復讐のように思える。父親の居所を知らせに来た元巡査の言葉を聞き、埋めがたい自分の孤独の深さを悟ったのだろうか。父と放浪していた子供の和賀は不幸ではあったが孤独ではなかったのだろう。元巡査を殺し、「過去を消す」ことで孤独に押し潰されそうになった自分を守ったのだろうか。つくっては壊れを繰り返す「砂の器」のように人の幸せははなかいもの。子供の頃の和賀はつくるのを止めなかったが、大人になった和賀は止めてしまった。