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<ネタバレ>もの凄く緊張感のある映画です。脱出の達人がすぐに死んでしまうのをはじめ、この映画は何度も希望を見せては絶っていきます。次第に狂っていく登場人物たち、いや、元々持っていた醜い部分が見えて来ると言うべきでしょうか。こっちは見ているだけで疲労感があります。CUBEが謎から始まって謎のままで終わるのは正解だったように思います。この異常なシチュエーションに至るまで背景を納得のいく形で描き切るのは困難でしょう。事実、それを別の監督が描いた続編の評価は芳しくないようですし。本作はソリッドシチュエーションホラーとしての面白さだけで及第点は超えていると思います。
しかし、この映画にはそれだけではない深みを感じます。成功経験を過信して失敗する人、リーダーシップがあるけど独善的な人、知識人なのに特定の事になると思考停止する人、自分には何の才能も無いと思い込んでいる人、生きる目的を見つけられずにいる人、他者と分かりあう事が困難な人。登場人物は、実社会のどこかで会った事がありそうな人たちばかりです。終盤の狂気の方が印象が強いとは思いますが、序盤のクエンティンの勇気や、絶対にカザンを見捨てないハロウェイの優しさ等、人間の美しい部分もまた描かれています。この映画を人間社会を描いているようだと言う評はなかなか的を射ていると思います。