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<ネタバレ>小林秀雄の「秩序なく泣いては、人と悲しみを分かつことができない。人に悲しみをよく感じて貰うことができないからだ。悲しみの中にあって、悲しみを救う工夫が礼なのだ。」という言葉を思い出した。時代や宗教、風土、文化によってさまざまな葬祭の形があっても、「礼」についてはどんな葬祭も共通だ。この映画の納棺師たちはそれを知っている。「礼」はとても大切なものだからとても大事に取り扱う。だから列席者は悲しみを分かつことができるのだ。だからこの映画の観客も悲しみを感じることができるのだ。この映画はよくできた作品だし、着想も面白く素直に楽しめる。ただ、劇中で広末涼子演じる妻が「穢らわしい!」と叫ぶところでは、驚くとともにかなり引いた。「へえそんなふうに感じる人がいるのか」という驚きと、「穢らわしい!」なんて時代錯誤的なセリフ(を発する心性)に引いた。そこまで嫌か?