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<ネタバレ>男でも女でもなく、かつて住んでいた東ドイツも崩壊した。ヘドウィグという名前すらも自分のものではない。自己喪失感を抱え、愛と歌に自分の存在価値を見出そうと、ひたすらもがくヘドウィグの姿にせつなさ、ほろ苦さを感じて胸が痛む。彼女は「アングリー・インチ」で身に降りかかった理不尽に対して怒り叫び、「シュガー・ダディ」で現在の自分を喜び楽しんでるさまを語り、「ヘドウィグの嘆き」で身の不幸を嘆き、「愛の起源」で自らの喜怒哀楽を昇華しようとする。最初にこの歌が流れたとき、そこには憂いがあった。しかし、ついにラストでイツハクとともに「ありのままの自分」を肯定して生きることを選択する時、この歌のメッセージは、一切合財を取り込んだ、愛の賛歌の高みにまで昇るのだ。姿は奇妙だが、純粋で純粋で純粋な彼女の歌声に心を動かされずにはいられない。演技、衣装も素晴らしいが、個人的にはやはりアイデンティティと愛への賛歌を素朴に語った「愛の起源」だ。自分の価値観が変わるほどショックだった。[良:1票]