大人のためのファンタジーだのなんだのというのは良く分かった。 .. >(続きを読む)
大人のためのファンタジーだのなんだのというのは良く分かった。それでも、簡単に「心が洗われた」などという考えは出来なかった。二度と観るものか、と心にまで誓った。レノがショーウインドウの中のチョコレートを貪り食うシーン。観るたびに苦しくて苦しくて仕方がない。甘く濃厚なチョコレートにはだれもかなわない。何もかもどうでも良くなるくらい、人の心に直接染み込んでゆくヴィアンヌのチョコレート。あの魔力が怖い。何もかも見透かされてしまいそうな、あのチョコレートが怖い。女神のようにやさしいチョコレート。出会ったらきっと楽になれるのだろう。自分の中で張り詰めているものが突然千切れてしまいそうで、怖くて怖くて、楽しんでこの映画を観れるほど、自分は大人になっていないのだと、素直になれていないのだと、ずっしりと心に重く伝わってきた。