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<ネタバレ>作者の意図がどうであれ、この作品の中で大きな存在感を示しているのは「大佐」の一家だろう。あの革命で祖国を追われた一家だが、異国の地で大佐は、屈辱的な仕事に絶え、残された財産を運用しながら家族を必死に守ろうとしている。そういう大佐とその家族にとって、この家は将来の生存をかけたものだった。 元の持ち主、そして大佐たちを悲劇に引きずり込んだ女、ニコロは、結局は自分の祖国で暮らしているわけだし、親も兄弟も健在であり、亡命者一家の物理的と言ってもいいような孤独と不安に比べれば、彼女の苦しみなど所詮ぜいたくにすぎない。 大佐達が帰って行った「運命」。それは、あの革命のときに一家を捉えてはなさなかった運命だったのだろう。