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原作のテーマは、宇宙には人間が決して理解できないものがあるというものだった。タルコフスキーのソラリスは、その設定を借りて、人間が自身の心の内面と向き合わざるを得なくなったときの苦悩を描いて見せた。特に私が心を動かされたのは、失ってしまった愛を、たとえ偽物ではあっても取り戻せたとしたら、という設定だった。だから、ソダーバーグ版ソラリスのあらすじを聞いたとき、大いに期待していた。しかし、残念な作品に仕上がってしまった。タルコフスキー版では、ロシア映画特有の饒舌さはあるものの、クリスやハリー(ソダーバーグ版ではレイア)のせりふは少なく、その沈黙が内面を雄弁に語っていたが、ソダーバーグは、その辺のところが分からなかったようだ。もっとも、それならそれで、ハリウッド的な饒舌さでまとめればよかったのだが。余計な話だが、レイアを演じた女優は、ホラー映画の魔女のようで、彼女とラブシーンを演じたジョージクルーニーに同情してしまった。