アルトマンお得意の群像劇で、舞台は麗しきスコットランドの貴族 .. >(続きを読む)
アルトマンお得意の群像劇で、舞台は麗しきスコットランドの貴族屋敷。私は、たった一つだけ持っているウェッジウッドのカップで紅茶を飲みつつ、雰囲気に浸りながらこの映画を鑑賞した。登場人物の多さだけで既に面倒で、今まで観るのを躊躇していたけれど、一つ一つの会話に耳をそばだてて観ていると、それなりに人物関係も見えてきて退屈しなかった。充分優雅なくせに、誰一人満足げな人が見あたらない貴族達と、下働きながらも、噂に花を咲かせてシャキシャキと動く使用人達の対比の描き方が秀逸。しかし、後半殺人が起こってからはちょっとテンポが落ちてくる。このプロットなら余分だなあ、と思える人物多数(特にライアン・フィリップなど)。アガサ・クリスティや金田一シリーズなどの、混沌とした人間関係と恨みなどを描いた作品と比べると、ラストのまとめ方なども質が落ちるように感じた。飽きはしなかったが、諸手を挙げて「凝っている、面白い!」と言えなかったのが残念だった。