<ネタバレ>舞台が中西部でありアメリカの男らしさの象徴であるカウボーイ同 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>舞台が中西部でありアメリカの男らしさの象徴であるカウボーイ同志の性欲を絡めた恋愛であるからこそ、傑作足りえるのだと思う。これが美容師や画家、あるいはNYやLAのごく普通のサラリーマンだったりすると現代ではさほどタブー視されないだろうし、なおかつ性欲を伴わなければ少し濃いめの「友情」という言葉でくくってしまえたかもしれない。二人を隔てる障壁が高ければ高いほど、昇華されない二人の思いがせつなく胸に迫ってくる。また、極端に寡黙なイニスをはじめ、少ない台詞で二人がおかれる状況も、感情も表現しきった脚本・演出。アン・リーらしさ全開の俯瞰して見せる透徹な視線、そして息をのむほど美しい大自然。俳優たちの演技。パーツパーツも素晴らしい。生きてゆくうえでのままならなさがリアリティをもって描かれているので、男でもなくカウボーイでもなくアメリカ人でもない私が見ても共感できる作品になったのではないだろうか。ゲイというだけで生理的嫌悪を感じる人には勧めないが、切ない恋愛映画を観たい方はぜひ観て下さい。