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<ネタバレ>この映画は、戦後日本を代表するプロジェクトのひとつである通称:黒部第4ダムの建設に関わる男たちの苦難のドラマを映画化したものである。上映オリジナル版は、3時間を
超える長尺であるが、残念ながら私は、2時間ちょっとに編集した縮尺版しか観ていない。この映画は、石原プロと三船プロの共同制作作品であるが、故石原裕次郎の意向があるとかで、ビデオ化やDVD化の許可を石原プロが出さないといわれている。そのため、
まれにしか観る事ができない幻の作品となっている。ドラマの中心は、黒部第4ダム建設
プロジェクトのうち、特に難関とされた大町側扇沢-黒部までの関電トンネル工事現場
が舞台となっているが、施工主である関西電力を始め、実際に工事を請け負った
各ゼネコンの全面協力の下に、ひじょうにリアルな映像を作り出しており、
その臨場感あふれる舞台で三船敏郎と石原裕次郎という当時の2大スターが切迫した演技を競演している貴重な作品。映画館の巨大スクリーンでのみ上演してほしいという
気持ちはよくわかるが、できれば是非、オリジナルの長さでDVD化してほしい。
(追記)
今日(2012-9-1)オリジナル版を錦糸町で観てきた。東日本大震災の復興の一助という
ことで全国縦断チャリティー上映会を行っていてその一環のようだ。
短縮版、オリジナル版比較すると一長一短という感じがした。オリジナルは、本筋と直接
関係のない部分が増え散漫な印象がある。そのわりには、破砕帯という最大の難敵を
突破するプロセスが練られていない。オリジナルの最大の長所は、オリジナルってこと
だと思うが、付け加えるなら親子や白血病のエピソードの意義が短縮版よりはわかった気がした。破砕帯突破は、人の志、知恵や努力あるいは犠牲によって克服できたが
一方で人の力には限界もあるということでバランスをとるためと、人の志、知恵や努力、成果は世代を超えて受け継がれるという意味だと理解した。白血病にしても、当時は治療できないものでも今では治療可能かもしれない。当時難しかったトンネルでも現在の工法なら余裕かもしれない。しかし重要なことは、当時の人の志、知恵や努力、犠牲があるか
ら現在があるということ。黒四ダムによる発電は現在も有効であるし、発電量の調節が
容易な水力発電の意義は、火力、原子力などの比率が高まっても
なんら変わらない。