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<ネタバレ>「文学的香気」の高い、明治時代の情趣溢れる立派な作品ですね。自分は邦画のオムニバス映画なんて、これまで「バカヤロー!」くらいしか観たことないんですが(笑)そんな映画の名前を出すのも憚れる、原作樋口一葉の短編世界の美事な映像化だと思います。一話はヒロイン(丹阿弥谷津子)が実家を出た後、幼馴染が曳く人力車に乗り不忍池に出るまでの雰囲気描写が素晴らしい。第二話が一番物語性が強い。良くも悪くも「演出」を一番感じさせる挿話です。自分は久我美子のファンなので、盗みがばれやしないかとドキドキしながら観てました。オーラスの第三話は後半から杉村春子が出てきて、画面をぎゅっと締める。実に手堅い。ふーむ、これがこの年のベストワン作品。「東京物語」よりも当時は高く評価されたんですか。当時の観客がどんな趣向の映画を求めていたかよくわかります。(池袋新文芸座「淡島千景特集」にて鑑賞)[良:1票]