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<ネタバレ>小気味よいストーリーの展開、ユーモラスで笑いを誘う演出と演技、そして心に響くラスト・シーンなどにもかかわらず、この作品のレビューはむずかしいんですよね。でもこの作品は傑作や名作ではないとしても間違いなく佳作や秀作と呼べると思います。評価がむずかしいのは主人公ウェイトンの親と相棒のサイモンの両方を思いやる気持ちと全世界的に見て小数派に属するゲイとしての主人公のライフスタイルのせいかもしれません。事情を承知した相手に永住権を与えるというギブ・アンド・テイクでも迷ってしまう主人公は真面目そのものです。「おい、オカマ野郎!」なんて揶揄を受けながら誠意と確信をもって自分の生き方を選んでいるのに、子孫繁栄を願う親の思惑には簡単に揺さぶられてしまうんですよね。アメリカ(あるいはニューヨーク)だからこそ許される独自の生活の均衡状態からグローバルな文化と矛盾しないもう一つの生活形態への移行が描かれた・・・なんて大上段に構えるとこの映画の面白みは半減してしまうけれど・・・。それにしても女はゲイに惚れても歩があります。ウェイウェイはニューヨークで画家として成功するための着実な一歩を踏み出したようです。画家として成功し、「ねえサイモン、この次の出張展覧会までに洗濯物を全部済ませてコートをクリーニングに出しておいて。」なんて叫んでいる未来の姿が目に見えるよう・・・。