それぞれの監督が自分の持ち味を各自で自覚しながら個性を発揮し .. >(続きを読む)
それぞれの監督が自分の持ち味を各自で自覚しながら個性を発揮している作品集。期待しすぎてはいけないが、期待しなければそこそこ楽しめる。観る人によっては作品ごとに好き嫌いがはっきり分かれるであろう。ということで各作品ごとに評価するのがこのフィルムの正当な評価方法であるように思う。以下、個人的な評価。◆北村氏「the messenger」・・・黒いノリのファンタジー。嫌いではないがいまひとつオチが消化不良気味。妖艶さもエグさも中途半端。5点。◆篠原氏「けん玉」・・・起承転結のはっきりした短編。キャラがそれぞれ際立っており、展開の運び方やまとめ方も他作品より群を抜いている。8点。◆飯田氏「コールドスリープ」・・・大沢たかおのコミカルな演技が笑いを誘う。終始ギャグマンガのノリに徹したことが良かった。6点。◆望月氏「Pandora 」・・・エロティシズムとフェティシズムの融合を目指したかったのだろうか?しかし何を伝えたかったのかは不明。吉本多香美の艶めかしい演技は良いのだがそれだけである。2点。◆堤氏「HIJIKI」・・・個人的にはこれが一番面白かった。女三人、特に場末のママみたいな女の存在感が抜群に良い味を出している。シリアスやバッドエンドという暗い題材をシニカルな笑いにもっていける堤氏の手腕が発揮されているように思う。8点。◆行定氏「JUSTICE」・・・なんとなく『GO』を思い起こさせる設定と雰囲気。しかし今作はひたすら明るく突き抜けている。着眼点がすばらしい。7点。◆岩井氏「ARITA」・・・ピアノのBGM、ノスタルジー漂う小学校の教室等、岩井氏っぽい演出を見て彼の作品を多く観ている人なら一発で岩井監督作品だとわかる仕上がり。個人的に岩井氏作品は好きなのだが、これはどうも受け付けなかった。広末の一人芝居であるせいか、締まりのない印象を抱いてしまう。3点。◆総合評価・・・平均点として5~6点。こういった企画物として斬新だったので甘めに6点献上。