D.W.グリフィスは実在の監督で、「アメリカ映画の父」と呼ば .. >(続きを読む)
D.W.グリフィスは実在の監督で、「アメリカ映画の父」と呼ばれた人物です。4つの物語に分かれている『イントレランス』中、最も力がかけられているのが、兄弟の関わっているバビロニア編。本作では触れられていませんが、この作品は難解すぎて興行的に惨敗、グリフィスは没落します。以上の事実を踏まえますと、「バビロン」とは「栄華を誇りながら、あっさりと壊れ去っていくもの」を表していることが判ります。劇中のバビロニアやグリフィスの王国同様、映画のセットも同じ性格を持っており、壮大に作られていることが強調されればされるほど、はかない運命の哀しさ(すぐに壊されてしまう)が漂うのです。この巧みなメタファーには感心しました。ただし、それがもう一方の主題である「兄弟の同等性」とうまく噛みあっておらず、全体の完成度という点では今ひとつです。