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<ネタバレ>神に祈るな。自分に頼れ。スコット牧師(ジーン・ハックマン)はそう説きます。彼についてきたものだけが助かるという筋書きに、露骨な作為性を感じる向きもあるでしょう。しかし私はそう思いません。情報が遮断されており、誰も正確な判断を下せない状況で、スコットも大部分を憶測に頼っています。途中で乗客を連れ、船頭へ向かう医師が登場しますが、彼はスコットと反対側へ向かっているだけで、「目的地の逆側が沈んでいるに違いない」という憶測に関しては同じなのです。従って、スコット一行は助かるべくして助かったわけではありません。おそらく船内では多くの人が、それぞれの判断に基づいて、それぞれのリーダーに従っていたでしょう。それを自業自得と断罪できるでしょうか。この物語の作者は、スコットに絶対的な正義を与えなかった。彼に従わなかった者を、単に愚かで、情けない人たちには描かなかった。先輩の牧師はスコットにこう言います。「君は強者の味方だ。私はこの人たちをおいていけない」この視座があるだけで、『ポセイドン・アドベンチャー』は救われます。私はそれを評価したい。[良:3票]