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<ネタバレ>2001年のアフガン侵攻以来、こういう映画を望んでいた観客は少なからずいるんじゃないだろうか。陰惨な現代をカリカチュアライズした舞台、国家に牙を向ける偽悪的な犯罪者、強権的な政府にNOを叩きつける市井の人々の革命…確かに今『未来世紀ブラジル』を撮るなら、こういう風にやるのが正しいだろう。デュマを意識した大ロマン的な展開(ちょっと蛇足気味にラストで明かされているが)も、手品のように巧くはまっていた。
…だが、ラスト30秒で全てがぶち壊し。何とこれは真剣なプロパガンダ映画だったのだ。
「こんなご時勢、何を言っても仕方ねェや」と映画で息抜きしに来たオイラは、カーテンコールのごとくに(だが舞台とは違ってシリアスに)死んでいった者たちが顔見せするエンディングで思いっきりのけぞってしまった。このスタッフ、マジだよ。シャレで作ってるんじゃないよ。大資本映画を見て世界情勢について真剣に考え、自らも行動する時代は70年代で終わってるんだってば。オイラはね、『未来世紀ブラジル』みたいな最後の最後まで意地悪いのを期待してたんだよ。『未来世紀ブラジル』の幻のエンディングバージョンじゃないの。
「素晴らしいディナーを振舞ってもらったけどデザートに毒を盛ってありました」的な悲しい作品でした。素材が良かっただけに残念。娯楽として観たい方は、ビッグベンに花火が舞うあたりで席を立つのがいいと思います。
…あ、今回はクレジットの最後まで見たわけじゃないんで、なんかドンデン返っちゃうような仕掛けがあるかもしれませんがネ。
●追記:これ、英国の評論家が何て言ってるか気になりますねえ。すっごくスノッブにけなしてそうな気がするな(笑)。●さらに追記:うわぁこれ、イギリス映画じゃなくてドイツ映画なんだ! ラストを含め、いろいろ腑に落ちました。点数上げるかどうかは、しばらく熟考してから…。●さらにさらに追記:そういやこち亀以外でも、『宇宙家族カールビンソン』の虹男にも似てるんだよなあ…あさりよしとお、ネタにしないかなー。