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<ネタバレ>本当は小ネタ欄でいい話だが、知らない人が多いようなので、ちょっと書いておきますか。
本作は2つの原作を強引に接着して製作した、SFに対するレイプのような映画。
片方は50年代の古典的名作『地球最後の日』。原作者はスーパーマンの元ネタ『闘士』の作者として知られるフィリップ・ワイリー。この原作では、太陽系重力圏に捕らえられ刻々と地球へ迫ってくる遊星の恐怖が丁寧に描かれている。本作の地上パートと思えばいい。
もう片方はSF界の御三家の一角、アーサー・C・クラークの90年代作品『神の鉄槌』。三体問題の当然の帰結として地球へ衝突する運命にある小惑星をぶっとばそうという、英国流破滅SFの流れも汲んだ紳士のアルマゲドン。本作の宇宙パート。
で、思いっきり並行して描かれる地上と宇宙が、まったく別の物語になってて、これ凄すぎです。シュールすぎます。元々が木に竹を接いでるわけで、その合わない継ぎ目のガタガタした感じがたまらなく変(というか…やっぱり凄い)。
だって違う小説を、しかも戦後直後の大らかなSFと90年代のハードSFを、1章づつ交互に読んでるのと同じなんだよ! これで両者に通じる何かが見えてくれば話は別なんだが…まあ一応、人類愛というくくりはあるね。
この映画、地上パートと宇宙パートの連携があまりに粗雑なので、異なる映画のツギハギだと思って観る事ができてしまうし、一度そう思ってしまうと「映像モンタージュの力ってすげえや」と思わないワケにはいかないね。
フィリップ・ワイリーはコミック『スーパーマン』にネタをパクられた上に内容まで改変されて(ワイリーの描いたのは、どれだけ善行を重ねても世間に理解されず、神に幸福を乞いながら消滅していく超人の姿でっせ)、作家としてかなり悲しい目に逢ったわけだけど、死後も第2の代表作でこんな扱いされるなんてなあ…報われないお方です。[良:2票]