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当初は全く期待していなくて、単なる暇つぶしだったのですが、予想以上に良い出来でびっくり。気乗りしないお見合いに行ったら、相手の女性がかわいかった…そんな感じです(違。ドッペルゲンガーといえば芥川龍之介が有名ですが、彼自身、とある講演で「ドッペルゲンゲルに会ったことがある」と言っていたそうで、事実、その後、彼が自殺をしたことからも、直接的に「ドッペルゲンガー=死に結びついたもの」と考えるのが自然です(たしか河合隼雄の『コンプレックス』の中にも似たような記述があったような気が)。この映画の序盤「死の予感」から、または監督が黒沢清ということから「ホラーっぽい作品なのかな」と騙されてはいけません。実際はまったく違いますね。中盤以降の壊れっぷりをみると、やっぱり監督は一筋縄ではいかない人だなということがわかります。この壊れ方はある種、爽快ですよね。(作品の違いはあれど)『ソナチネ』には及ばないにしても『鮫肌男と桃尻娘』に近いかな。コダールの『気狂いピエロ』しかり、途中で一本ねじが飛んでしまう、いわゆる「壊れ映画」は個人的に大好きなのです。シリアスな作品テーマの中に含まれる、あまりにも場違いな壊れ方、ほんとうに、それは役者の演技からしても、笑ってしまう要素であるのですが、本当はその壊れる中にも、風刺であったり、比喩、社会批判など監督の主張があると思うのです。バカっぽさの中にもね。あと…永作博美って30過ぎているんですよね。それにも驚きです。いや、何でもない話です、えぇ。