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<ネタバレ>クリント・イーストウッドは"上品"な監督だ。『目撃』や『トゥルー・クライム』、『スペース・カウボーイ』にいたるまで、
犯罪や陰謀に触れながらも、きちんと人間愛や高潔さを謳い、エグい演出は絶対にしない。
それが、この作品のラストはどうだろう! あの後味の悪さ、「これでよかったのか」という疑問、やりきれなさ。
しかも、それが名優たちの圧倒的な演技力で突きつけられる。あのマシャ・ゲイ・ハーデンのオロオロとした表情が目にこびりついている人も多いのではないだろうか。これは、イーストウッドの監督としての大胆な冒険で、"美しい"ストーリーや"奇抜な"演出に慣れきった私たちへの、力強い挑戦だと思う。