<ネタバレ>どんでん返しがキモの作品はたくさんあるが、この作品の趣向はよ .. >(続きを読む)[良:2票]
<ネタバレ>どんでん返しがキモの作品はたくさんあるが、この作品の趣向はよくできた「騙し絵」のようだ。一見して理解したつもりでいた光景が、少し角度をずらしただけでまったく異なる意味合いを持って見えてくる。観終わってすぐに再び初めから見直したくなる、精妙巧緻な仕掛けだ。ネタそのものがすごいというよりも、その観せ方が憎らしいほど上手い。真相の意外さよりも、実はその真相が(ある意味では)初めからずっと目前にあった、という衝撃が新鮮だった。『SAW』などの力技で騙す作品も悪くはないが、伏線をきれいに回収していくこの手並みの鮮やかさは素晴らしい。
ただし構成の精緻なミステリーの宿命で、敷かれたレールがしっかりしているのに反比例して登場人物が人間味を失ってしまう、物語のためのコマでしかなくなってしまうという短所からは逃れられていない。しかも本作の場合、一つの場面から二重の解釈ができるような微妙な雰囲気が強いられるため、普通以上に抑えた演技が多く、ますます感情移入が難しくなるというハンディを抱えている。個人的には気持ちよく騙してくれたからそれでOKなのだが、だめな人はだめだろうと思う。
ちなみに大泉ファンであればコメンタリーは必聴。期待に違わぬ、清々しい下らなさだった。監督と妙に仲がいい(笑)[良:2票]