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<ネタバレ>黒沢清監督が奨めていたので観てみた。思ってたよりも単純明快で、あっけなくて、でもなぜか拍子抜けはしない。なんでしょうね、このシンプルなのに重くて、物悲しい感じは。牧師の過去は意味ありげなほのめかしがあるだけで結局明らかにされないのに、中途半端な印象は受けない。回想に踏み込めば多少は込み入り、泥臭くなりかねないところを、あえて短く控えめにまとめることで微かな気品すらまとっている。暗闇のなかで奇妙に光るイーストウッドの瞳、あれは名場面です。敵方一味も、脂っけのない保安官といい、個のない兵隊人形のような六人の助手といい、人ならぬ異様な雰囲気で面白かった(その割りに弱っちいけど)。無駄な色気のまったくない、西部劇の王道。しかし贅肉を清々しいまでに削ぎ落とした結果としてありふれた物語が清浄な空気を獲得し、この作品を非凡なものにしている。