<ネタバレ>現代の映像から始まったのと、初めのうちは登場人物の顔見せが続 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>現代の映像から始まったのと、初めのうちは登場人物の顔見せが続いたのとで戸惑った。しかも台詞がべらんめえ調で早口、時代劇を知らない者には馴染みのない語彙も多く、聞き取りにくいことこの上ない。
しかし物語が転がりだすと俄然面白くなり、最後まで一気だった。おそらくカメラが下手に動かないためだろう、すごく臨場感があって、まるで自分も相模屋の一角にいて一部始終を眺めているかのようだ。
たとえば廊下の場面で、手前で登場人物が戸口をくぐって画面から消えたかと思うと、映像はそのままで奥の別の戸から次のパートの登場人物が現れ――といった具合に鮮やかに視点が切替る。一つの建物のなかでさまざまな物語が交錯しながら並行して展開していく、それが目で見てわかる。
だからテンポよく複雑な筋書きが進むにも関わらず混乱しない、取り残されない。普通に考えたら密度の濃すぎる話を何気なく観せている。実はさまざまな面で高度なことをやってのけているのではないかと思う。
結末はあれはあれで味があっていいが、やっぱり監督の構想が実現したらと思わずにはいられない。そうであれば後味も明るく、力強い印象となっただろう。
そして惜しまれるのが台詞の聞き取りにくさ。時代劇も落語もさっぱりなので、この低レベルなハードルに最後までひっかってしまい、心から没入することはできなかった(巻き戻してもわからない!)。ちょっと哀しかった。台詞が多いから字幕も難しいだろうし……。