<ネタバレ>映像はともかく、脚本に不満が残る。
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<ネタバレ>映像はともかく、脚本に不満が残る。
後になって全体のあらすじを思い描いてみるとそれなりに面白い気がするのだが、なぜかいまいちだった。この笑わない主人公との距離を縮めることができなかったのと、台詞が味気ないのが要因だろうか? どうも表層的で実感の伴わない台詞が多かったような気がする。
しかし終盤での主人公の精神的な崩落の過程についてはすごく面白かった。とくに題名にもなっているあの容赦のない暗殺の場面は、恐慌状態の夫妻とはコントラストをなすファシストたちの冷静さが恐ろしい。不自然なほど垂直に伸びた木々が並ぶ騙し絵のような森の風景は独特の美しさで、そこで進行している行為の残虐さを浮き上がらせていた。
ラストのどんでん返しも秀逸。後半の筋書きがよかっただけに、それ以前の脚本をもう少し煮詰めてほしかった。