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<ネタバレ>原作未読。前知識もほとんど入れずに鑑賞。「ダ・ヴィンチ・コード」とは異なり、本作には比べる材料がないので、普通に楽しめた。スリリングな展開が繰り広げられており、大して難しくもないストーリーを追っていけば、それほど悪くはない映画といえる。宗教にはそれほど詳しくないので、逆に興味をもって本作を観ることができる。
ただ、「ダ・ヴィンチ・コード」同様にストーリーをひたすら進めることに主眼が置かれており、それぞれのシーンや登場人物の内面などをゆっくりと堪能することはできない。ロバート・ラングドンという者が優秀なのは分かるが、彼が何を考えていて、どういう人物かは伝わってこない。“神”について、カメルレンゴと語るという見せ場は用意されているが、それだけでは弱い。
説明的なセリフが多いのも難点だ。色々なことを喋っても次のシーンに行けば、大半は忘れてしまうのだから、重要なことを語らせればよいのではないか。
小説というものがあるのだから、詳しく知りたい人はそれを読めばいい。
映画の役割は別にあり、映画は重要な“骨格”だけでも問題はないだろう。
オチに関しては、多少のサプライズが用意されているが、それほどの驚きはなかった。
まず、リヒターという衛視隊の隊長が登場した瞬間に直感的に“怪しい”と感じられた。シュトラウスという枢機卿もかなり“怪しい”人物だ。黒幕は彼らだろうかと当初は考えた。しかし、あからさまに“怪しさ”を押し付けるために、逆に彼らは“白”なのではないかと考えるようになっていった。このあからさまな押し付けはミエミエの引っ掛けであり、一番“怪しくない”人物こそが“黒”ではないかと考えて、リヒターが日記を隠した辺りでほぼ確信に至った。結果はその通りになったわけだが、自分のヨミが鋭かったというよりも、ロン・ハワードのツメの甘さが目立つのではないか。観客をミスリードさせたいという彼の生真面目さが逆に裏目に出てしまっている。
また、同じ“神”を信仰する者同士が争うという虚しさや、“宗教”を守るために大切なものを奪うという矛盾をもっと込めれば、現代の紛争に対するメッセージにもなったので、その辺りにも、チカラを込めて欲しかったが、単なるサスペンスで終わった感は強く、深みは感じられない。“宗教”メッセージを込めると、また問題が再燃するので、あえてそういう色を省いたのかもしれないが。