<ネタバレ>論理的な理屈で映画を構成して知性や感情に訴えるというよりも、 .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ>論理的な理屈で映画を構成して知性や感情に訴えるというよりも、派手で記憶に残りやすいシーンを多数用いることで、視覚に訴える作品となっている。
比較的重いテーマであるにも関わらず、2時間以内に収めて、万人向けの軽めの映画に仕上げている。本作のような映画は、スコセッシやコッポラには創れない映画だろう。
キャスティングも実に絶妙だ。コネリー、デニーロ、スミス、ガルシア、殺し屋など、見た目だけで既に、どんな人物かということを言い表しているだろう。
また、バットで仲間を殴り殺すという衝撃的な映像をワンシーン描くことで、カポネの残虐性や性格を瞬時に観客に伝え切っている。
コネリーも流石だ。正義感の強い情熱的な警官を熱演している。ネスに対する指導者っぽい接し方には厳しさとともに、彼の歴史・誇りの高さを感じさせる。警官としての誇りをワンアイテムに託したのも分かりやすくなっている。
ラストを観るにあたり、エリオットは、この戦争において、何を得たのだろうかと思わざるを得ない。「アンタッチャブル」メンバーを二人失い、当初「法の遵守」を標榜していた彼も、最後には法を犯して、殺し屋を突き落とすという行為に走り、カポネを有罪にするためには「はったり」をかますという、なり振り構わぬ姿が描き出されている。そこには財務省特別捜査官という姿はなく、感情を剥き出しにして戦う戦士のような姿である。家族を危険に晒して、自らの信念も曲げて、行き着いた先はカポネの有罪であるが、彼らはいったい何を得たのか。
カポネの有罪と、禁酒法の撤回により、10歳の少女が巻き込まれるような争いはなくなり、シカゴの街に秩序の回復が図られたと考えてよいのだろうか。やや、ラストの締めの工夫に物足りなさを感じる。
さらに、ちょっと気になったのは、デパルマらしくないなということである。何が足りないのだろうと思ったら、本作にはデパルマ作品に必須な「女性」が足りないのではないか。
しかし、よくよく思い起こしてみると、ウォルシュ殺害の前にエレベーターから美しい女性を降ろしたり、ネス夫妻の夜の会話において、自宅で仕事に取り掛かろうとするエリオットに対して、「ブラッシングして欲しいの」と妻がエリオットに頼み、しばらくすると第二児が誕生しているのをみると、やっぱりデパルマらしさは随所に出しているのだな、とも感じさせる。[良:1票]