何もかも素晴らしい作品と言ってよいだろう。
世に言うインデ .. >(続きを読む)
何もかも素晴らしい作品と言ってよいだろう。
世に言うインディペンデンス映画は、その内容の奇抜さがクローズアップされるが、これは奇をてらっているだけではない紛れも無い本物の映画だ。
サスペンス的なストーリー展開の面白さもさることながら、時間軸をずらしながら論点をぼやかしながら、徐々に全体像を明らかにしていく手法は見事である。
また、数少ない登場人物についても、彼または彼女の部屋を見せることによって、その人物について雄弁に語っているのである。
部屋を見れば何もかも分かる、これは確かに誰にでも当てはまることではないか。
このように、きちんと人間の本質を描こうと努力している点をなによりも評価したい。
また、全く関係のない赤の他人である第三者を特別の存在と感じて、その人物がどういう人間なのか、彼または彼女の生活あるいは感情を知りたいと思うのは、ある意味において「人間」としては普通な感情ではないかと思う。
そのような一般人が持ち得る感情を使って、ストーリーを描くことによる効果は、ストーリーを観客にとって、より身近に感じさせるという利点がある。
また、「ハコ」の扱いについても同様だろう。
人間は確かに誰しも「ハコ」を持っている、秘密の「ハコ」を。
ある人間にとっては、「金庫」という「ハコ」かもしれないが。
第三者にとっては、取るに足らないモノであるが、当人にとってみれば、何かしらの意味があるものが詰まっている。もう少しこの当人にとって大事なものと失って気づく大切なものという視点があればより深い世界を描けると思うが。