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<ネタバレ>「ジョン」と「アイリス」を演じた4名の役者の素晴らしい演技の共演が見事である。
特に、ジュディ・デンチの演技は恐ろしいほど完璧だ。
同年のハル・ベリーはなかなか強敵ではあったが、このような演技にこそ、アカデミー賞を送るべきだろう。
演技だけでなく、映画としてもなかなか奥深いものがある。
ジョンからは、アイリスと分かり合いたくても、分かり合えない辛い気持ちが伝わってくる。
一緒に寝ている呆けた妻に向かって、何もしていないのにボロクソにけなすシーンなど本当に素晴らしい。
ただ単に献身的に介護するだけでなく、このような感情を露(あらわ)にするシーンがあるからこそ、彼の愛情の深さを知ることができる。
二人の出会いのときから、アイリスの死によって二人を分かつまで、あの二人は完全には分かり合えなかったのかもしれない。
しかし、「分かり合えなくても、一緒にいるだけでよいのではないか」ということが本作から伝わってくる。
本当の「愛」とはこういうものなのではないか。
アイリスもアイリスなりに、ジョンの愛情を受け入れようとしているのがきちんと現れていると思う。
ラスト間際の、車から飛び降りたジュディ・デンチの「I LOVE YOU」というセリフだけでなく、若い時代に出来上がった小説を見てもらおうとする際のケイト・ウインスレットの演技もかなりの出来だ。
また、若者の時代から老人の時代になり、アイリスが病気になることに伴い、二人の関係で変わってしまったもの、変わらないものも味わい深く感じることができる。
派手さは全くないが、いい映画とはこういう映画をいうのではないか。[良:1票]