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<ネタバレ>冒頭のこれからおきる事を予見するかのような広範囲を映した奥行きのあるカメラワークとスピルバーグ独特の光のぼかしはユニークだったが、その後の演出が非常に淡々としているのに驚かされた。むしろそのオープニングからこれは単純な娯楽映画ではないと訴えているようだ。トライポッドが地下室を探査するサスペンスシーンやレイがトライポッドに囚われるシーンなどに娯楽性をはらんではいるが、全体的に抑制したリアリティのある演出である(軍隊は画面から明らかに浮いているのは狙ってのことだろう)。しかし、パニック描写はさすがに迫力があり、トライポッドが熱線で人々を攻撃するシーンには実際に起こりそうな恐怖感があったが、それも前半だけに集約され、オチも原作そのまんまで、あっけないといえばあっけない。しかし、主人公のレイがあくまでも「一般人」だったのは非常に新鮮味があった。人は大災害を前にただただ逃げるしかない。侵略者に対してはあくまでも受動的であり、そのためには他人を見捨てる事もある。ロビーとティム・ロビンス(役名がわからない)のシーンはそれを上手く示したシーンだろう。それだけに中途半端な家族愛のシーンは蛇足だと思う。ラストでは個人的には期待していただけにもうちょっと終末感を出して欲しかった。人類の破滅を確信した人々が絶望する中、思いがけない事で幸運にも助かった、というストーリーなら爽快感があったかもしれないが、ラストに絶望感が足りないためか、あまり印象に残らない終わり方になってしまったのは残念。