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<ネタバレ>様々な要素を含んだ一家の放浪のストーリーと言ってもいいのではないでしょうか。「開いた窓は通り過ぎろ」という言葉が出てきますが、それはつまり人生を深刻に捉えすぎてはいけない、という意味でしょう。その証拠に登場人物たちには悲劇的な出来事が立て続けに起こりますが、彼らは悲しみで立ち止まるような事は決してしません。常に住むホテルを変え、必死に自分たちの目的地を探しているのです。しかし、リリーが「ここに住みたい」というように旅を終え、永遠の安らぎを得たいとも思っています。一家の教訓に従い、生きていた彼らですが、それを守れなかったのはリリーでしょう。彼女はなかなか兄弟の輪に加われませんでしたが、ホテルの住人たちの教えを通してなんとか大人になろうとします。映画の進行に連れて、彼女が徐々に存在感を発揮していく描写がうまいですね。ベストセラー作家として「窓の光」を得るも、彼女には悲劇的な「影」の部分に出くわします。彼女は家族と違って悲劇を深刻に受け止めすぎてしまい、子どもの体のまま姿を消したのでしょう。ラストの登場人物たちの行動を見ると成長物語という見方も出来ると思います。愛を模索していたフラニーは結婚し、スージーはコンプレックスを乗り越え、ジョンと結ばれる事でそれぞれ幸福を得て、彼らの旅は終わりを告げました。ストーリー展開はドラマにありがちで前半部がパッとしませんでしたし、早まわし演出もあまりいいとは思いませんでしたが、どことなく寂しい感じの風景が主人公たちの孤独な雰囲気をうまく表していました。なぜ、ブスなスーザンの役をナスターシャ・キンスキーが演じる事になったのかは疑問ですが、ラスト部分のまとめ方は非常によかったです。