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<ネタバレ>実は初見のときは、「上の句」よりもこの「下の句」のほうが印象がよかった。というか、それまでの物語の伏線と登場人物の感情がしっかりと絡み合うラストの個人戦の描写が(とくに上白石さんがすっと手を握るところ)すばらしく、この一戦だけで気持ちが高揚しきってしまったからだったと思う。ところが、DVDで再度見てみると、今度は物語の難点のほうが目に移ってしまった。たぶん理由は2つある。一つは、本作序盤の千早がクイーン戦にこだわるロジックが(太一が指摘したように)いまいち説得力に欠けているので、そこのジレンマを共有できず、ただフラストレーションが溜まるだけだから。前作で、机君が直面する問題は見てる側も共有できるから、それを乗り越えたときの感動が大きいのに、今作の千早のスランプは、ただの見当違いにしか見えない。それからもう一つ。実は二部作を通して、子ども時代のシーンだけはセリフも演出も平板で、自分の場合はあまり心に響いてこなかった。だから、個人的には、どうしても千早・新・太一の3人の「絆」に感情移入しにくい。それよりも、上の句でのチーム結成以来のドタバタを見てきた瑞沢高校かるた部の5人のほうに、むしろ絆を感じてしまう。だから、「いちばんかるたが楽しかった時」で、千早や太一に「子ども時代」を挙げられても、その感情にグッと同一化できない。そのことも、前作よりも3人に焦点を当てた本作に今ひとつ乗れなかった一因だと思う。ただ、ラストの「個人戦こそが団体戦」の描写では、まさに、その5人の絆がドライブしていく様がしっかりと描かれていて、それが新や若宮詩暢の心を動かすからこそ、感動的だったんだと思う。あのラスト1戦だけだったら、9点は付けられるし、初見の感想はまさにそうだった。そこに至るまでの(団体戦の描写を含め)チグハグが、残念でたまらない。