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<ネタバレ>短くシンプルな作品ではあるけれど、うーん少し疑問が。結局、この映画は事故に関わったすべてのプロフェッショナルたちが「自分の仕事」をしたことで「奇跡」が起きたということを美しく描いているのだと思うのだけれど、唯一ちゃんと仕事してないのが、NTSBの調査官だ。ラストの公聴会でのサリーの主張は、「え、そんなことNTSBが考えてないわけないでしょう」というもので、NTSBからどんな反論が用意されているのかと思えば、なんと本当にNTSBは考えてなかったらしく、そのまま大逆転からの大団円(どころかNTSBによるサリーへの絶賛付き)・・・・。数十年前の話ならともかく、今時、再現シミュレーションにヒューマン・ファクターによる時間ロスぬきで計算していたなんて、普通に考えてあり得ないでしょう(とはいえ、実話ベースの話なので、それも実話なのだろうが、そうであるならなおさら、なぜNTSBがヒューマンな要素を抜きで計算してしまったのか、についての検証も必要な気が・・・)。NTSBの「壁」があまりに脆かったので、個人的には物語的なカタルシスの行き場がなく、「これで終わり?」という結末でした。とはいえ、NTSB以外の事故シーンにおける淡々とした描写には、イーストウッドらしい「引きの美学」が満載で、どんな派手な再現ビデオよりも素晴らしい人間賛歌であったと思います。であるがゆえに、NTSBの調査官も市井の人であり、プロフェッショナルであることをきっちりと描いてほしかったし、そうであればこそのこの事故検証劇だったのだと思うのです。