<ネタバレ>原作未読。すみません、完全に舐めていた案件でした。巷の話題も .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ>原作未読。すみません、完全に舐めていた案件でした。巷の話題も聞いてはいましたが、60分の中編でどんなものだろうかと思っているうちに結局は配信で見られることに。
何かをあきらめようとしたけど、でもやめられず、決定的な断絶があっても、それでも続けてしまう。分野やレベルの違いはあれ、誰もが思い当たるフシのあることが凝縮された60分でした。原作も読んでいないし、原作者のこともよく知らないのですが、登場人物たちの一つ一つの動きがぜんぶ心に刺さる。京本との出会いの後、田んぼを駆ける藤野のシーンはもちろん、劇中なんども登場するマンガを書き続ける藤野の背中を映す場面が、今も心のなかに蘇り、思い出すたびにちょっとウルッときます。とくに、冒頭の四コママンガを書くところ。そのあとの「簡単だ」とうそぶく小学4年生の藤野とセットで、それだけでなんかグッときちゃう。そして、中盤以降に起きる悲劇。予備知識完全にゼロだったので、あまりの急展開にかなりの衝撃でした。藤野と同様に動揺する自分の心にどうやって向き合ったらいいかわからないでいると、少しずつ語られるもうひとつの過去と未来。そして、それでも変えられない/変わらない「いま」。まだその解釈は定まらず、心は揺れていますが、揺れていること自体を抱えて前を向け、という物語の結末だと受け取りました。
ただ、他の方も書いているけど、音楽がなー。最初のうちはよかったと思うのですが、感情移入しちゃうと今度は逆にうるさく感じる場面も。音楽と動く絵の総合芸術としてアニメ映画をとらえるならば、序盤は完璧だったけど、終盤はもっと静かなほうが、観客もまた藤野と京本と、そして自分のなかの「やめられないもの」と向き合う時間ができたのではないのかなと思う。ラストの書き続ける藤野のシーン、そして貼られている四コママンガは、「やめられないもの」を抱えてしまったすべての人への見事なエールです。楽しいことだけでなく、苦しいこと、辛いこと、見たくなかったこと、モヤモヤすることもまるごと抱えて生きていけ。それを語るに全く過不足のない60分であったと思います。[良:1票]