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<ネタバレ>実は公開直後にも見たのだけど、当時はピンとこなかった。最近、なぜかこの映画が急に見たくなり、久々の再見。すると、なんと素晴らしい作品だったのか。暴力と犯罪と些細な日常が交錯するギャングの下っ端の世界。物語全体を包むのは、人間の愚かさ、偏狭さ、そしてユーモア。淡々としているけどスピード感のあるタッチと効果的な音楽(「レイラ」のメロディの美しさをああいうふうに使うのは、狙いすぎと見る見方もあると思うけど、やっぱり凄いと思う)。主役3人のキャスティングは言うことなし。あと、個人的に評価したいのは、実はアイルランド人の親を持っていることでイタリア人ギャングの世界の中心にはなれないというヘンリーたちの立場。そのギャング世界の構造のなかでもがき破滅する姿は、どこか普遍的な人間の生き方を描いているようにも思えて妙な共感を導く。現代の多くの映画にも影響を与えた演出で、愚かで魅力的な登場人物たちを描いたスコセッシの傑作。