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確かにワイルダーらしい映画なんだけど、今一つの出来だと思う。小粋な恋愛を描かせたら巧いワイルダーの映画なのに、この映画は恋愛よりも、騙し合いがテーマになっている。J・レモンも車椅子の男という設定なので、残念ながらあまり彼らしい“動き”が無く、おそらくワイルダーもJ・レモンをこの役柄に置いたことは後悔していると思う。であるがゆえ、ラストに楽しそうに動き回るシーンが何とも爽快で、「やっぱりレモンはこうでなくっちゃ」と思った。ただ今回は、あまりに毒々しいキャラクターでアカデミー助演男優賞まで獲得したW・マッソーの存在感が大きい。彼自身、撮影前に心臓発作を起こしたりして、大変なスケジュールで撮影されたらしいが、ヤキモキさせられただけあって彼が一番光っている。