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<ネタバレ>よくもまあ、こんなもの凄い映画を作ったもんです。役柄に酷似した俳優を、情け容赦なく使うワイルダー監督も凄いですが、引き受けた上に、世紀の名演を見せた俳優たちはもっと凄いです。中でも圧倒的なのはグロリア・スワンソンの眼、表情、仕草、1度見たら忘れられません。そして、変質的なシュトロハイムがぴったり彼女に追走して、怪奇で、それでいてリアリティのある世界を作り上げました。ホールデン演じるジョーは2人の女の気持ちを、どちらも本人に言われるまで、全く気付かなかった野暮天だけあって、身の危険に鈍感すぎました。まず、チンパンジーの葬儀から始まる、こんな呪いの屋敷に足を踏み入れてはいけません。重症の夢遊病者は起こす以前に見てはいけません。とはいえ、経済的に追い込まれた状態でこんな屋敷に迷い込んだら、少しの間だけと、プライドを売り渡さずにいられるかどうか・・・。ずぶずぶとノーマにはまってしまったジョーが最後(最初?)に撃たれてしまうのは、必然的な展開ですが、凄いのはその後のマックスです。ノーマの罪を隠したり庇ったりするどころか、ノーマの映画出演と自分でノーマの映画を撮る、一石二鳥の夢を叶えるために利用してしまうとは・・・。人生最後の、一瞬だけの夢のために。ところで、「サムソンとデリラ」の撮影シーンはデミル監督だけでなく、ガートルード・アスターやジュリア・フェイとかがいて、本当にワイルダー監督は映画が好きなんだという思いは伝わってきました。ただ、この主人公たちのように、どこか屈折した思いではありますが。