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なんと言っても、この映画で圧倒的にいいのは、陰翳ですね。ほんと谷崎ですね。・・・・・・夜の暗さと、灯りの濃淡、陰翳です。芸者ものといえば、例えば溝口なのかもしれませんが、白黒映画では、この陰翳は鮮やかにはでません。相撲のところのシーンもいいですね。その後の後半の舞台でのチャンツィーの踊りも、いってみれば女歌舞伎風で創造的です。とにかく、全編、絵だけはいいですね。・・・・曲がった路地は全く京都には見えないけど。・・・・・ただ、貧しさ、姉妹の別離、女の嫉妬、戦争、置屋、初恋、顔の醜さ(延)、などなど色々なテーマを入れ込もうとするものだから、いったい何が言いたいのかわかりませんね。メインは芸者の純情というものかもしれませんが、他の要素に埋もれてしまって、鮮明ではありません。・・・・・それにアメリカ的な標準的なモラルを前提にすると、この世界は、実は全く描けないし、説明できないのではないかなぁ。ほんとに描こうとすれば、色々と批判を受けて商業的に失敗してしまうでしょう。・・・・・・・・あと、渡辺謙と役所広司の対決では、役所広司でしたね。というか、この作品では、渡辺謙は全然演技できていないというか、ほとんどイモでした。役所広司の不戦勝というところでしょうか。まあ主役の女優陣を盛り上げようとはからいなのかもしれませんし、この脚本だと、どう演技していいかわからないかもしれませんけど。