<ネタバレ>「ねぇ、ピエロ?」「フェルディナンだ」・・・この不毛なやりと .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ>「ねぇ、ピエロ?」「フェルディナンだ」・・・この不毛なやりとりが幾度となく繰り返される。けど、それがいい。
ストーリーの中の二人の行動の大半が、これといった理由もないままに起きる。けど、それがいいのだ。
お互いに「愛してる」と言ったりする。二人は特に愛し合っているようには見えないのだが。しかし、それがまたいい。
アンナ・カリーナが、客人を背後から不意に瓶で殴りつけて殺してしまう。特にその客人との関係も語られず、既にベッドで倒れている男が誰なのかもわからないのだが。しかし、それがまたいい。
カフェでビールを2杯注文したところに出てきたオヤジ。「10万フラン貸した」「妻と寝ただろ」とくれば、そこからいざこざに発展しそうな感じだが、すぐに消えてしまう。ベルモンドも何事もなかったかのように新聞に読みふける。それがまたいい。後から考えて、あのオッサンはストーリーとは何の脈略もない人だったんだなぁと解ると、その存在が非常に面白く感じられて、見終わった後になって何とも言えない余韻に包まれる。あの男は、最後に登場する、音楽がづっとついてまわるという男と共に、非常に重要な役を演じているのだ。
最初の、A、B、C・・・と、順番に出てくるタイトル画面も最高にカッコイイし、全然荷物を持たないでいるのにいつもオシャレな服なところもいい。ストーリーとはさほど関係ない日記も好き。
ゴッホやルノワールの絵画が挿入されて出てくるのも、突然BGMに合わせて唄いだすのも、カメラ目線でおじいちゃんの真似をするのも、顔を青く塗っちゃうのも、海と空が溶け合った青一色のラストもいい。
要するに、何から何まで最高の映画。
自分の人生に影響を及ぼした映画。
猛烈にどこかに放蕩してみたくなる、そんな映画。
盗んだ車でどこまでも行ってみたいと思ったし、その車で海に突っ込んでもみたい。川の中を歩いて渡ってみたくなるし、銃で人を殺して大金をせしめてみたくなるし、ダイナマイトを顔に巻きつけてみたくなる・・・・・そんな映画。[良:1票]