<ネタバレ>映画のワンカット目の幼い子供の後姿から、いつものアンゲロプロ .. >(続きを読む)
<ネタバレ>映画のワンカット目の幼い子供の後姿から、いつものアンゲロプロスの映画らしい陰鬱な雰囲気がすぐに伝わってきます。彼らの身に何かあるんだなというのは何となく分かるのですが、決してそれを表情や言葉には出さないまま物語は進みます。
しかし、何が何でもドイツに行くんだ!という内に秘めた悲壮な決意が、もうとにかく凄い。
ここまでくると、あれはもう本能じゃないかと思ってしまうほどの凄まじい気概が、あのあどけない2人の姿からひしひしと伝わってきて、それがこの映画を終始に渡って緊張感溢れるものにしていると思うのです。
たとえ無事にドイツまで行けたとしても、生みの親に会えるとは限らない。いや、可能性は恐らくゼロなんだろう。けど、純粋で一途な彼女たちの気持ちに本当に感動しました。
途中で、フィルムの中の霧の風景を見つめるシーンとか、雪景色をみんなで立ち止まって空を見上げるシーンとか、石像の手を吊り上げるシーンとか、印象深いシーンがいくつかありましたけど、必見は最後。向こう岸に辿り着いたときのいつか見た霧景色。徐々に霧が晴れ、草原の向こうには大きな木が一本。
2人が木の中に飛び込むシーンの幻想的で感動的なワンショットに鳥肌が立つ思いがしました。それまでの2人の涙を思い出すと、観ている方も彼らを見守っている気分になり、とても感慨深いラストでした。