一応は劇場公開時にも鑑賞したものの、記憶喪失にでもなったのか .. >(続きを読む)
一応は劇場公開時にも鑑賞したものの、記憶喪失にでもなったのかと思うほど内容を覚えていなかったので、再度の鑑賞となりました。作品賞を含むオスカー大量ノミネートにカンヌ映画祭監督賞受賞と、完成時には恐ろしく評価の高かった本作ですが、果たして本当に優れた映画なのだろうかという点には大きな疑問符が付きます。タイトルが示す通り、本作は人類のコミュニケーション不全を壮大なスケールで描いた作品なのですが、劇中起こるトラブルはどれもバカな奴がバカなことをしでかした結果のものであって、「人間の悲しい性」みたいなものは感じさせられませんでした。そもそもの問題として、感情移入可能な登場人物が一人もいないというのは、ドラマとして失格でしょう。出て来るのは、感情の振れ幅の激しいヒステリックな人間か、恐ろしいほど考えの足りないバカのどちらか。観ていて疲れましたよ。。。
また、4つのエピソードを交錯させるという構成も、さほど効果をあげていないように感じました。この手の映画は、バラバラに進行していたエピソードがクライマックスに向けて収斂していき、最終的にひとつの結論を導き出すという構成をとることが常套手段なのですが、一方で本作は最後まで各エピソードが独立したままなので結論部分が弱くなり、そのために肩透かしを食らったような気分にさせられました。。。
さらに、ひとつひとつの場面が妙に長いことも、観客のテンションを下げる原因となっています。一目見れば分かることを数十秒かけて見せる。こういうムダな時間の積み重ねにより全体が非常に間延びしてしまい、せっかくの美しい撮影も、観客にフラストレーションを抱かせる原因にしかなっていません。