<ネタバレ>【注意!激しくネタバレしています】
『顔のない眼』や『ムカ .. >(続きを読む)
<ネタバレ>【注意!激しくネタバレしています】
『顔のない眼』や『ムカデ人間』みたいなマッドサイエンティストものなのだろうと思ってみていたら、中盤で衝撃のドンデン返し。今までみなさんが女性だと思っていたこのお方、元は男性だったんですよ!これにはさすがに驚かされました。また、このドンデンを単なる一発芸に終わらせず、ドラマ上の重要なパーツとしても機能させているのですから、さすがは巨匠の仕事であると感じました。。。
中身にあるのは殺してやりたいほどの憎悪の対象であるが、その外見が変われば、その人間を受け入れ、愛することができるのか?なかなか興味深い問いかけだと思います。若い方であれば「そんなわけないじゃん」とアッサリ切り捨ててしまうかもしれませんが、長年連れ添った伴侶を失われたような方ならば、また別の回答をなさるかもしれません。人間は他人をどうやって識別し、何に対して愛情を注いでいるのか?非常に難しい命題を、本作はきわめて分かりやすい形で提示しています。。。
また、男性が女性へと改造され、これからは女性として生きていけと命令される。被験者となった男は、当然の如く当惑し、反発しますが、これは性同一性障害を患う人々の苦悩を、一般人にもわかる形で表現したものだと考えられます。荒唐無稽な設定でありながら物語にリアリティを感じさせたのは、こうした人間ドラマとしての完成度が極めて高かったためだろうと思います。。。
以上、ドラマとしての完成度は評価するのですが、展開が少々遅いことと、全体のアクセントとなる目の醒めるような場面がひとつも見当たらなかったことから、鑑賞中に何度か集中力が途切れてしまったという点は残念でした。もっとコンパクトにまとめれば、見違えるような傑作になったかもしれません。