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<ネタバレ>B級映画としては上位クラスの仕上がりではあるが、大作と比較すると何だか物足りない内容。本作の評価は、レニー・ハーリンに何を期待するのかという軸により変わってくると思いますが、ここ10年のハーリン作品を見てきた私としては、本作には好意的な評価をしたくなりました。
ハーリンの手腕は序盤から冴え渡っています。若者たちが意気揚々と登山への抱負を語る導入部が終わると、続く場面では「アメリカ人の大学生が遭難しました」というニュース映像の挿入により悲劇的な結末へと一気にジャンプし、最中に何が起こったのかという観客の関心を大いに引き付けます。こういう掴み、私は好きです。本編に入ると、しばらくはアメリカ人学生が悪ふざけをしながらタラタラと登山する場面が続きますが、悲劇的な結末が観客にインプットされている分、「でも、この人たち死ぬんだよね」という寂しさが襲ってきます。さらに、その合間には不気味な兆候がいくつも挿入され、それが観客の脳内で結末部分とシェイクされて、余計に恐怖が増幅されるといううまい仕組みとなっています。また、雪山の美しさや過酷さの描写、雪崩のシーンのド迫力など、手間と金をかけるべき部分を的確に判断しており、少ないリソースをうまくやりくりして、それなりの大作感を出している点でも感心しました。
いよいよ明かされる恐怖の正体には意外性があって、そのアイデアは気に入りました。また、荒唐無稽になりかねないオチに対しては多くの伏線が張られており(被害者は9人ではなく11人とした老婆の主張や、時空の歪みの発生を示唆したいくつかの小さな事故等)、観客に「んなアホな」と思わせない作りとなっています。B級ながら、丁寧に作られた良作だったと思います。