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良い映画すぎてヤバかったです。基本的にはモラルを語る映画なのですが、観客に対して大上段からお説教をするような押し付けがましさがない辺りが素晴らしいと感じました。それはアラン・カミング演じるお姉の性格と、要所要所で挿入される楽曲センスの良さによるものであり、こういう題材を堅苦しくしすぎることなく90分程度でさらりと見せられる監督の余裕が心地よかったです。また、何となくうまくいきそうな雰囲気を見せておきながら、最後の最後でバッドエンディングを持ってくるという段差の付け方もよく計算されており、本当によくできた映画だと感心しました。
問題に感じたのは、観客に実話だと勘違いさせるような演出がたまにあったこと。本作は「ゲイのカップルが障害児を育てたらしい」という都市伝説に着想を得た完全なるフィクションなのですが、さほど必然性がないのに舞台を70年代に設定したことや、妙にリアルな法廷劇から、実話であると錯覚してしまう人が少なからず出てしまうのではないかと思います。しかし、観客の人生観にまで影響を与えかねない映画だからこそ、実話か創作かの線引きをきっちりしておくことが、作り手側の良識ではないかと思います。本作は出来が良いだけに、その点は特に気になりました。