<ネタバレ>ヒドラの秘密基地を襲撃する冒頭から、映画のテンションはフルス .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ>ヒドラの秘密基地を襲撃する冒頭から、映画のテンションはフルスロットル。6人の主人公の能力をバランスよく見せる演出の素晴らしさには、つくづく感動させられました。ただし、それと同時に違和感も残りました。序盤から楽勝ムードが全体を覆っており、緊張感が皆無なのです。特に冒頭は、軽口を叩きながら圧倒的なパワーで迫っていくアベンジャーズがとても感じの悪い集団に見えてしまい、一方で生身の人間でありながら神やモンスターを相手に防戦せねばならないヒドラの兵士達が気の毒になったほどです。
タイトルロールであるウルトロン登場以降も、その傾向は変わりません。「最大の敵現る!」という予告編での煽りとは対照的に、こいつがとにかく弱いのです。ボディはアイアンマンの改造版に過ぎないし、人工知能ならではの緻密な戦略があるわけでもない。また、これは前作からの問題点でもあるのですが、大ボスとその他大勢の雑魚から成り立っているというシンプルにも程がある敵の組織構造はいかがなものかと思います。雑魚をちぎっては投げ、最後に大ボスを始末するといういつもの流れで、クライマックスの見せ場が恐ろしく単調なものとなっているのです。個性的な能力を持った中ボスを置き、戦いにバリエーションを作るべきだと思います。
見せ場の合間に挿入されるドラマも、実にどうでもいいものでした。単独主演作を持たないキャラクターのドラマが中心となるのですが、ハルクとブラックウィドウがなぜか良い仲になっていたり、ホークアイの家族が唐突に登場したりと、激しくどうでもいいものばかりで眠たくなりました。また、平和の護り方を巡って多少の内輪揉めが起こるのですが、「人工知能を使い、システマチックな監視体制を作るべきだ」と主張するアイアンマンに対して、「あんな信用ならんものに頼れるか」と年寄り臭い主張をするキャップ(実際に年寄りなのですが)。お話は、アイアンマンの主張が間違ってるっぽい感じで進んでいくものの、途中から登場するヴィジョンが底抜けの正義漢ぶりを発揮し、結局あの議論には何の意味があったんだと、観客を大いに混乱させます。
最後に、日本のみ世界最遅上映という扱いはどうにかならんものでしょうか。この手のイベント映画は鮮度が大事。長々と悪口を書いてしまったのも、世界同時上映から2ヶ月も待たされ、私のテンションが完全に下がってしまっていたためでもあります。[良:1票]