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<ネタバレ>交通事故で娘を亡くした父親が、出所した加害者の命を狙うという、どうやっても面白くなりそうな最高の題材なのですが、これが何とも言えない中途半端な出来でガッカリさせられました。まず、キャスティングがいい加減すぎます。娘を交通事故で亡くした父親役がジャック・ニコルソン、母親役がアンジェリカ・ヒューストンなのですが、二人とも歳をとりすぎておじいちゃん、おばあちゃんにしか見えません。また、ニコルソンがヒューストンに向かって「君は相変わらず綺麗だ」と言う場面があるのですが、ここでもまた混乱。ヒューストンは美人扱いを受けるタイプの女優さんではないので、これがどういう意図をもった発言だったのかを直感的に理解できないのです。映画の序盤では、誰が何のことを話しているのかがサッパリ分からないほど混乱しました。若い俳優が演じるべき役柄に無理やりジャック・ニコルソンを当ててしまい、そのニコルソンとのバランスをとるために他の出演者の年齢層も上がっていった結果として、上記のような混乱が発生したのではないかと思います。。。
映画全体としても、バイオレンスにも人間ドラマにも振れていない中途半端な内容で、イマイチ感情が乗りませんでした。例えば、ラストの追いかけっこ。この場面は中年親父の悲哀を出すためにあえて鈍重に、滑稽に撮られているのですが、これが笑えるわけでもなければ涙を誘うわけでもなく、どういう心境で見ればいいのかを掴みかねました。本作は万事がこの調子で、あえて外した演出をしたはいいものの、その意図がうまく観客の心情に届かずもどかしいことになっています。その後、『プレッジ』『イントゥ・ザ・ワイルド』で素晴らしい手腕を披露するショーン・ペンも、本作の制作時点では映画という媒体をうまく使いこなす術を持っていなかったようです。。。
最後に、ブルーレイのジャケットに書かれた「サスペンスに満ちたアクションスリラー」という一文は一体何なのでしょうか。ジャック・ニコルソンとデビッド・モース共演の復讐アクションと聞けば、たいていの映画ファンはあらぬ期待を抱くでしょう。作品の本質から乖離したこの宣伝文句は、もはや詐欺的とも言えます。