オリバー・ストーン監督とあってはアメフト界の内幕を暴くような .. >(続きを読む)
オリバー・ストーン監督とあってはアメフト界の内幕を暴くような作品になるのかと思いきや、なんと直球勝負のスポ根映画でした(DVDジャケットに書いてあった「大逆転の謀略!!」なんてものは一切出てきません)。21世紀に入ってからはすっかり腕前の鈍った感のあるストーンですが、本作では圧倒的な演出力を披露。そのビジュアルはアメフトの迫力を見事に表現しているし、2時間31分の長丁場にも関わらず中弛みなしの熱い熱いドラマは見ごたえ十分です。私はアメフトのルールにそれほど詳しくないのですが、そんな私でも十分に楽しめる仕上がりになっているのですから、余程よく出来た映画なのでしょう。選手達の一挙手一投足がスローモーションで映し出され、「この一撃で勝つ!」というみんなの思いがボールに託されるラスト10秒はスポーツ映画の定番ですが、そんなお決まりのクライマックスをこの映画は血がたぎるような名場面にしてみせます。この辺りの演出の巧さは本当に突出しています。キャスティングも見事なもので、アル・パチーノやジェームズ・ウッズといった定評あるベテランをいとも簡単に使いこなしてみせる一方で、映画への出演経験のほとんどなかったジェイミー・フォックスを物語の中心に据え、10年以上キャリアが低迷し忘れ去られていたデニス・クェイドを掘り起こし、当時はお人形さん扱いだったキャメロン・ディアスに演技力が要求される役を任せています。キャメロン・ディアスについては、すべての出演作中本作がもっとも彼女を美人に撮影しているし、同時に「こんなに演技力あったの?」と驚かされました。俳優の魅力や才能を引き出すことも監督の重要な仕事だとすれば、本作でのオリバー・ストーンの仕事は百点満点だったと思います。