面白さという点で言えば、オリバー・ストーン監督作品中でも一、 .. >(続きを読む)
面白さという点で言えば、オリバー・ストーン監督作品中でも一、二を争う出来だと思います。開始30分で主人公にとって最悪な状況が完成し、そこから先はひたすらに落ちていく。笑わせ、呆れさせ、適度にハラハラさせながら最悪のクライマックスへと突き進んでいき、その過程では観客をアっと驚かせる展開をいくつか仕込んでおく。スタンダップコメディアン・ジョン・リドリー(後に『スリー・キングス』や『それでも夜は明ける』を手掛ける)による脚本を買い取り、それをストーンがブラッシュアップしていったらしいのですが、気鋭の新人脚本家による若々しく刺激的な部分は残しつつも、自身の熟練した手腕でこれを丁寧にまとめあげる。当時流行していたタランティーノ風のグロい犯罪コメディ映画の一種なのですが、無数に作られた当該ジャンル作品群の中でも、あらゆる点で本作は突出していたように思います。。。
役者の使い方も面白いと感じました。男の中の男を演じてきたニック・ノルティに人として最悪のことをさせたり、瑞々しいアイドル女優だったクレア・デインズと、兄・リヴァーの清純なイメージに引きずられていた当時のホアキン・フェニックスに田舎のバカップルを演じさせたり、ジョン・ヴォイトに分かったような分からないようなことを喋らせたりと、豪華な俳優陣を他では見られない形で使い、かつ、それぞれを適役にしてしまっているのですから、このキャスティングセンスには恐れ入りました。また、ショーン・ペンのカメレオンぶりにも恐れ入るところであり、あらゆる点で見所が多い作品となっています。