<ネタバレ>ヒッチコックらしい巻き込まれサスペンスですが、ヒッチ映画で一 .. >(続きを読む)
<ネタバレ>ヒッチコックらしい巻き込まれサスペンスですが、ヒッチ映画で一本を選べと言われて本作を選ぶ人は少ないでしょう。しかし実話がベースになっているという点で異色の作品であり、それゆえ同じ巻き込まれサスペンスでも飛行機に追いかけられる事もないし、組織の陰謀もないし、自由の女神での攻防もないし、“ケセラセラ”のようなドラマティックな事件解決の要素もないし、ブロンドの美女も出てこない。ヒッチらしいユーモアのセンスも影を潜めている。実話ゆえの制約もあるし徹底的に地味な作品です。だからこそリアリティを感じるし、ひょっとしたら仕事が終わり家路に着く途中、自分と瓜二つの凶悪犯と間違われて通報されて・・・なんて事が無いとは言えない。そう考えると怖い映画であり、犯罪捜査のあり方と冤罪という問題に対するヒッチコックの問題提起でもあるのでしょう。そして「いつもの私の映画とはちょっと違いますよ」と言いたげなヒッチ自らが冒頭に作品の説明を行うあたりにこの人の映画と、それを観る者の反応に対する用意周到ぶりを感じます。