夫との関係を軸に展開される、主人公の妻が次第に精神的に追い詰 .. >(続きを読む)
夫との関係を軸に展開される、主人公の妻が次第に精神的に追い詰められていく様を
些細な出来事を積み重ねじっくり描くサスペンスですが、
歴史を感じさせる屋敷の佇まいや古城の中のような室内装飾の様式美にはゴシックロマンの香りも漂う。
本作の少し前に撮られたヒッチコックの「断崖」「レベッカ」あたりを思わせる作品です。
ヒッチコックなら本作の主演女優はジョーン・フォンティーンで決まりだったでしょうか。
霧が立ち込めたロンドンの夜に浮かび上がるガス燈の灯り。室内のガス燈が作り出す光と影。
モノクロの世界。そして美しい伝説の名女優イングリッド・バーグマン。
昔の映画の中にある、格調の高さを感じさせる空気もたまらなくいい。
ミステリとしては、誰が犯人なのかは前半で見当が付いてしまいますが、
本作はその上で夫妻の関係の中にあるサスペンスを堪能する映画。
本作でオスカーを手にしたのはバーグマンでしたが、シャルル・ボワイエの悪役も秀逸。
嫌な雰囲気を漂わす若いメイドの存在も効いていました。