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<ネタバレ>ブルース・スプリングスティーンの名曲”THUNDER ROAD”をタイトルにした作品。
主人公の警官の男ジムが母の葬儀で、母が好きだった曲を、とこの曲を流そうとするが、ラジカセが壊れて流せない。
そこで流れない曲の替わりに踊りだしてしまい、葬儀の場が凍り付いてしまう・・・。という冒頭。
踊りだす前にもそろそろいい加減にしておけよ、といいたくなるほど長く要領を得ないスピーチが続く。
90分の作品で、ここまでで既に15分ほど経過していたと思う。
しかし、ブルースの”THUNDER ROAD”を見る者に刷り込み主人公の男がどういうタイプの人間か知るには十分な冒頭。
後になって振り返れば、この冒頭が効いている。
人生のうまくいかない一時期。長いこと生きているとこういう時期が必ず訪れる。
こういうおじさんを主人公とする場合、不器用で要領も悪いけど、分かりやすい善人の方が共感は得やすい。
しかし本作の男はその後もやることなすこと発言すること全てがうまくいかず、
常に周りにいる人間をイライラさせてしまう。そんな様子に本作を見る者までもがイライラしてくる。
最終盤の展開は唐突すぎて、もうちょっと他のストーリーは無かったものかと思うけど、
そして最愛の娘に対し、「荷造りして今夜ここを出て行こう・・・これじゃ歌詞のまんまじゃないか・・・。」と言う。
ここまできてふと気づいた。ブルースの”THUNDER ROAD”を作品タイトルにして見る者に刷り込みながらも、
挿入曲や主題歌としてここまで一度も流れていないし、結局最後まで流れなかった。
こういう使い方もあるんですね。