<ネタバレ>第2次大戦から冷戦の時代を経て、製作当時にはまだまだ燻ってい .. >(続きを読む)[良:1票]
<ネタバレ>第2次大戦から冷戦の時代を経て、製作当時にはまだまだ燻っていた内戦に至るまで、
クストリッツァの祖国の、争いを抜きに語れない悲しき現代史を、登場人物の人生に重ね合わせ一気に見せる叙事詩。
いつの間にやって来たのか、クストリッツァ映画のレギュラーとも言える大勢の人物に紛れ登場する楽団が奏でる賑やかなジプシーブラスは
クストリッツァならではの力強い人間描写と共に時に陽気にコミカルに、過酷な中にも日々を懸命に生きる人々を称える人間賛歌でもありますが
時にはその人間模様が狂気じみても見え、時には何とも滑稽にも見えます。人間と戦争を彼らしい描き方で強烈に皮肉り風刺する。
賑やかな音楽と共に彼の映画に欠かせないのが動物ですが、本作ではその動物たちが空襲により傷つき血を流し死んでいく様も描かれます。
登場する人間達が放つ強烈なまでに人間臭さを感じさせる個性、
全てのシーンにみなぎる力強さとスケールの大きさに圧倒される3時間はあっという間に過ぎていく。
クストリッツァらしく賑やかな結婚式のラストですが、賑やかな宴の一団のいる陸地は分断され不安定に漂っているように見える。
祖国ユーゴスラビアもまたいくつにも分断し、今後どうなっていくのだろう?
「この物語に終わりはない」というラストもまた考えさせられる。
「映画の持つチカラ」というものをとても強く感じる作品です。
クストリッツァという人を知るにはやはりこの映画だと思うし、彼の最高傑作であると思います。[良:1票]